坪先生の不幸と、しあわせ

 

 不幸編 

 5月4日() アルツの長トロや、郡上ラボ前で、あと一歩のところで、グラマーな本流アマゴちゃんに逃げられてばかりの坪先生。「聖書には、汝、釣れるまで通えば、汝に釣れる。と書いてあったから、釣れるまで通います」 という変なEメールを送ってくる。ここらあたりから、ライズ中毒患者の症状が現れていた。

 アマゴの高熱にうなされている坪先生は、夢遊病者のように、午前7時?頃に出発。今日こそは、決着をつけてやる。ダック鈴木のノーハックルリボンちゃんも作ったモンね。アワセと取り込みもイメージトレーニングできているし、とか、考えているうちに、現地到着は、午前9時半。ライズがある。しかし、現実はそんなに甘くなかった。ライズは散漫で、バシャバシャ跳ねているのはたまにしか無くて、ほとんどがポワーンというミッジ食べているようなライズであります。ひとしきりやって正午になったら、これまた、ウッピー吉田がやってきた。三日市でもそうだが、こいつは岩を見ると登りたくなる習性があるので、流れ込みの狭くなっているところの大岩でやるが、鳴門の渦潮状態の流れは、ドラク゜がかかり、うまく流れない。そして、本人曰く、「携帯のメールがうるさくて、集中できなかった」 そのころ、ダック鈴木は自宅。事務局長は、渋滞の中、果敢にも郡上ラボ前へ向かって、秘密の抜け道を爆走中。そいつらから、「状況はどうだ」 とうるさいメールが入ったので、釣れなかった。と、ウッピー吉田様の談話。

 午後1時45分。事務局長到着。ライズを見て、「やる気ねーや」 おお、きょうもシルバーのジムニー止まっているぞ。熱心やねぇ。とりあえず、缶ビールでも買ってこよう。と言うと、ウッピー吉田が1本くれた。サンキュー。こんなことは滅多にないから何か起こらないと良いけどねぇ。

 事務局長は、上万場が気になってしょうがない。そこへ行くと言うと、坪先生もウッピー吉田も同行するという。坪先生はいったん入れた愛竿ウインストンを出す。彼は、ニッサン老ーレルに乗っていて、8ft6の竿をつないだまま入れようとすると、入らないので、助手席から運転席の後ろの窓あけて入れている。つまりは竿先が、窓から出ている状態で、移動しているのだ。ウッピーも局長も、「これは危険ですねー」 と話し込んでいる。当の本人は、「だから気をつけている」とおっしゃっている。事務局長の車に相乗りしていく為に、竿を出してから、窓を閉めるのに、中毒患者の彼は窓を閉めてから竿を出すという間違いを犯してしまった。そして愛竿、ウインストンはパワーウインドウに挟まった。「あーあぶない」 「よかった折れなくて」 と言いながら上万場へ。途中万場に寄って、昔の話をすると、カメが甲羅干しをしている。アヒル倶楽部ではカメを見ると縁起が悪いんだよ。という話をして、ついでに「山椒魚はもっと縁起が悪い」 と事務局長が付け加えた。

 上万場では、ライズは無いに等しかった。しばらく居て、郡上ラボへ帰る。帰ると、対岸にジムニーのフライマンが。がんばるねぇ。ライズが多くなってきた。夕方にはチャンスが訪れるのでありましょうか? とりあえずやらなくっちゃね。坪先生、「あー」 みれば、ウインストンが折れている。やっぱり窓に挟まった部分にヒビが入っていて、ラインを出す作業をしていたら折れてしまった。不幸その1発生。それでも、車に戻り予備のロッドを出して、続ける坪先生。この不幸を解消するには、あの魚を釣ってデジカメするしかないのである。プラトニックな愛は、見ている者に切なさを感じさせる。

 余談だが、加藤ときこの「100万本のバラの花をあなたにあげる」という歌は、フランスの実話らしい。一人の女を愛してしまった男が、彼女の好きなバラの花を贈り続け、ついには財産もすべてつぎこんでしまったという話。 臨時休業の張り紙を出して、患者を無くし、大切なロッドを折っても、なおかつ、目の前の魚に愛をそそぐ、坪先生。その姿を見てウッピー吉田、事務局長の目には、大粒の涙が光り、夕日に映える坪先生のお姿は、荒行に挑む修行僧そのもの。農作業から帰っていく、地元の信心深い、おじいさん、おばあさんが、おもわず、合掌していくのであった。

 しかし、神は、彼にまだ、過酷な運命を用意していらしたのである。その予兆はすでにあった。ウッピー吉田がホームグランドの三日市へ帰っていってまもなく、大山椒魚が、姿を現したのであった。それはまさに地獄からの使者。午後6時。暗くなってきて浮かんだフライも見えなくなった。もう、終了だ。残念。竿も折れた。明日は家庭サービスだし、もう来れないなぁ。と言いながら坪先生と事務局長はそれぞれの車に戻る。と、「あれー?」という声。見れば坪先生がなにやら捜している。老ーレルのカギがない。不幸その2発生。

さて、落としてのか、竿が折れて予備の竿を出したときに、トランクに入れたか?どちらかだ。ウェーダーのドラエモン内ポケットから落ちるかなぁ。ということで、トランクという線が浮上。着替えもカバンも、当然お金もすべて車の中である。今の坪先生は暗がりに立つ文無しのフライマンだ。何にしても、ロック解除しないことには、着替えもできないし、飯も食べれない。事務局長といっしょに、近くのコンビニへ。そこでJAFに電話。白鳥からレスキュー頼む。コンビニで買った缶ビールを飲んで待つと、40分かかると脅かされたレスキューは20分足らずでやってきた。さっそくトランクを調査するが、やっぱり無い。この暗がりでは川原を捜すこともできないから、ここに老ーレル置き去りにして、明日再度、来ることにした。事務局長が、早朝、勝負するというので、それに同乗し、自宅にあるスペアーキーで開けて、終了という明日の計画にして、渋滞の156号と高速を横目で見ながら事務局長の裏道で午後10時過ぎに帰宅した。

 不幸なことだが、明日も釣りに行ける口実が発生したのには違いない。このキズをいやすには、あの魚しかない。帰ったら、もっと小さいフライを巻くぞ。と言う坪先生。しかし、自宅に戻ると、虎兎会釣り倶楽部のマルセン氏から、「誰それのPCの具合が悪いから見てやってくれ」というSOS。それで、往診し、約11時半までかかる。自宅に戻りやっとこせ1本のフライを巻くのが限界。事務局長からは、「明日は6時半に迎えに行く」 とのメール有り。寝なくては。で、没。

5月5日(

明けて翌日。定刻通り局長来家。同乗して156号を老ーレルの待つ郡上ラボへ。車内でスペアーキーを見せる坪先生。「たぶんこれて゜いいはず」 「たぷんというのが気になります」 と局長。そして運命の時は来た。午前9時前、老ーレルにキーを差し込んで回す。が、まわらない。そうなんです、これは前車セフィーロのキーだったんです。

不幸その3発生。こうなっては、捜すしかない。広い川原を釣りをしていたであろう辺りを一生懸命捜すが見つからない。坪先生の決断は早かった。きのうのJAFが言うには、エンジンキーの差込を取り外して、それでスペアー作るしかない。それには2万から3万かかる。というヒェーという道を選択。コンビニに移動し、その業者に連絡をとり来てもらう。行くのに30分かかります。というという話だったが、以外に早く15分程度で来た。そしてエンジン始動キーのシリンダーを外して帰り、やはり30分程度で作って持ってきた。坪先生ほっと一安心。これでやっと釣りが出来る。よかったね。一件落着。だけど、折れたロッドとかかった経費は相当なモンでした。

 

オチ

事務局長は午前11時まで釣り、バラシ1匹で、自宅に戻ってしまった。残った坪先生は、「このままじゃ帰れない。鷲見にいく」とて、再度北上。26pの岩魚を筆頭に5匹の釣果。都会の高学歴で自尊心の高いグラマーな美人にもて遊ばれた男は、田舎の素朴な人情あふれる女にキズをいやしてもらった。という感じ。やっぱりイワナはやさしい。これが、しあわせ編。(事の子細は本人が釣行記にします)

 そして、午後6時。昨日の現場に立ち寄る坪先生。あー、ここでフライがひっかかって取って………「?」 そこにはさがしていたキーが落ちていた。何のことはない、フライが後ろのボサボサにひっかかり、取りに行き、身をかがめて取ったときにその場に落ちたらしい。岸よりの川原ばかりを捜していたので見つからなかったわけでした。見つかって良かったのか、どうだったのか、ただ玄関のカギが戻ったので「よし」としましよう。

 

しあわせ編は、本人が釣行記を書きましたので、こちらをドーゾ。ただ、本人は不幸編には一切触れたくない。との事ですので、しかたないので事務局が作成しました。これは実話に忠実に基づいております。