2003/02/06

 

上河和からの手紙

 

2月6日(木) 釣行記です。一気に書いて読み返してみましたが、感傷過多ですみません。


瀕死の太陽が最期の光の槍を投げこんでいた。川面が反射して見づらい。フライが見えるように日陰部分まで移動してキャストした。何投目だったか、なぜか「こいつには出る。」という確信に近いものを感じた一瞬、吸い込まれるようにしてフライが消えた。反射的に、しかも自分でも不思議なほど冷静に合わせた。ロッドに振動が来て、キラキラとローリングするシラメが見えた。あ
あ、こうだった。まるで去年のあの日に戻ったみたいだった。場所も同じ上河和、フライも同じ#24のフローティングピューパ。ただ違うのは、今この瞬間も手に感じ続けている生命の反射。あの時はすぐにばらしてしまったのだった。冷静でいられたのもここまでだった。突然鼓動が早くなった。息苦しいほどだ。

「落ち着け、落ち着け。」と自分に言い聞かせながら、テンションをゆるめないように慎重にラインをたぐった。何ということかリール側の余っているラインをたぐってしまった。思わず「シーット!」と言っている。何で普段に言うこともないような言葉が口をついて出るんだろう。脳が混乱している。きっと行きつけの飲み屋でアメリカ人の友達と酔っぱらって片言の英語で話しているときの脳に切り替わっていたんだ。脳内モルヒネが猛烈な勢いで吹き出していて、そいつに酔っぱらっていたとしか思えない。

魚が近づいてきた。水しぶきを上げながらラインに抵抗している。ひたすら美しい。
「ようし、ようし。」と何度もつぶやきながら、3年越しの恋人をなぜか少し乱暴にネットですくい上げた。


 突然現実感が戻ってきた。まず写真を撮らなくては。かすかに震える手でデジカメを取り出しスイッチを入れた。フレーミングしている最中に突然ズームが収納される音がして、「バッテリーを交換してください」の文字が出た。「くそっ、こんな時に。」自分を罵りながら、バッテリーを取り出し手で暖めてはみたが同じだった。バッテリーをポケットにしまい、ちょうど近くにできていた水たまりにシラメを移した。落ち着いて見るシラメはやせていて、銀色が所々抜けており、先ほどの美しさが妙に色あせて見えた。
だんだん落ち着いてきた。ストマックを見ようとしてベストを探った。また忘れ物だ。何処にもストマックポンプが見あたらない。今日は最初からへまばっかりだ。ライズが始まり、ロッドをセットし終わってフライを結び、余ったティペットを切ろうとした時もそうだった。クリッパーがベストに付いてない。コートのポケットに予備があったはずだと探るが見つからない。目の前でライズが始まったというのに何ということだろう。早くキャストしなくてはと焦って歯で切ろうとしたが、どうしたことかフライごと切ってしまった。走って車まで戻り、バックの中身をひっくり返してみるとアーミーナイフが見つかった。こいつにはシザーズがついている。ひっつかんでまた走って河原へ。息を切らしながらなのでうまく結べない。2年前の悪夢が頭をよぎる。しかしライズはまだ目の前にある。やっと何とか結んでキャストを始めた。そして5投目ぐらいでフライが消えたのだった。

シラメを水たまりに入れたままで、また釣り始めた。あたりはもう薄暗くてフライが見づらくなっていた。今度はゴボッといってフライが消えた。合わせるとかかっている。先ほどより遙かに冷静に寄せてきて、ネットをと思ったら、水たまりの所においたままだ。すでに一匹は釣っているので横着して引っこ抜き、水たまりのあたりにおろした。そのとたんにフライがはずれた。危ないと
ころだった。

フライを代えてもう一度と思い、何とかアイには通したが、手がかじかんでいる上に暗くてティペットが結べない。ライトをつけて結ぼうとしたがやはりよく見えなくて結べなかった。ライズはと見るとずいぶんと静かになっていた。

ふと我に返り辺りを見回すと、暗くて対岸の人影もシルエットにしか見えない。

急に寒さを覚えた。

ロッドのセットを解いて川に背を向け、ぼんやりと見える車へ向かって歩き出した。

 

アヒル倶楽部コメント

おめでとうございます(局長) やられたー(ウッピー吉田) 上河和で一番腹ぺこでバカなお魚(ダック鈴木) むかつくー(アルツ石川) 山田伸チャ(坪サがねー、うーん、うーん) などなど・・

3年目にしてヒット、それも昨年涙を呑んだ上河和となれば、舞い上がるのも無理ないですな。昨年、ピヨの掟が出来て、苦渋の一年・・・。語尾にピヨをつけてしゃべれだの、忘年会、新年会では、板の間正座だの、よく耐えました。今年は、何倍にして返してやって下さい。すでに、「おら、鈴ピヨ」「おら、ウシピヨ」と覚悟している者もいるようです。

しかし、事務局長、今年も坪さんはピヨだと思って、すでにムービーもご用意していたのに・・・ムダになっちゃった。日の目をみないのも可哀想だから、さわりだけでも、UPしましょう。こちらをクリック(約380kb・AVI)